頑張ること、禁止です|ワークマン式「しない経営」 土屋哲雄
今回はワークマン専務、土屋哲雄さんの著書
ワークマン式「しない経営」
について解説します。
はじめに著者である土屋さんについて解説しますと、福沢諭吉氏に代わって新1万円札となる渋沢栄一氏を生んだ埼玉県深谷市の出身です。
叔父はスーパーやホームセンターや車用品店などを展開しているベイシアグループの総帥(そうすい)というとんでもない方でございます。
土屋さん自身もゴリゴリのビジネスマンでして、東大卒業後に三井物産で商社マンとして働き、その後いくつかの三井系の会社を経て、還暦手前でベイシア総帥に呼ばれワークマンに入社しました。
ワークマンについては説明不要かもしれませんが、作業服を中心とした現場で働く人向けのアイテム専門店でして、
「高機能にもかかわらずこんな安い値段で売っちゃっていいの?」
「利益出せてますか?」
って逆に心配になっちゃうくらいの商品を売っている。
そして朝7時から開店しているという職人にガッツリ寄り添ったなくてはならない存在です。
最近では、
- ワークマンプラス・・・アウトドア、スポーツ、レインウエアの専門店
- ワークマン女子・・・ワークマンプラスのレディース版
として人気を博していますが、実はこの火付け役となった方が土屋さんでもあります。
ワークマンは現場作業者向け商品としては競合他社が全くいない、いわゆるブルーオーシャンで独り勝ちしています。
しかし、顧客が限定されているため市場が飽和状態に近づき、必然的に企業としての成長に限界が見えていたのも事実です。
そうしたワークマン特有の悩みを抱えているときに呼ばれたのが土屋さんだったのです。
では、土屋さんはどのようにしてワークマンを急成長させたのか?
本書に書かれている幾つかのからくりの中から、
-
頑張らない経営で1220億円売上げた方法
- ブルーオーシャン市場の発掘方法
という、今すぐしりたい!と思う2つのポイントに絞って解説し、最後にわたくしフリタメ的まとめをお伝えして締める、そんな流れで進めさせていただきたいと思います。
ではいきましょう!
目次
頑張らない経営で1220億円売上げた方法
では早速、ワークマンがめちゃくちゃ急成長を遂げた一番の特長をお伝えしたいと思います。
結論、
しない経営 です。
「おいおい、何もしないで企業が急成長するわけないだろ!」
という強めのツッコミが聞こえてきそうですが、ここは本書のキモとなる部分ですので”なにもしない経営”についてじっくり解説していきたいと思います。
まず、土屋さんがワークマンに入社したとき社長から言われた言葉が、
「何もしなくていい」
という言葉だったとのことです。
事業を成長させるために社長から呼ばれたのにもかかわらず、いきなり「何もしなくていい」なんて言われたら意味わかんないっすよね。
あなたが土屋さんだったら「ハッ?」とかなりませんか?僕ならなります 笑
そして、逆に僕が社長だったとしたら、商社でめっちゃ鍛えてきたビジネスファイターを目の前にして”何もしなくていい”なんて口がスベっても言いません。
それどころか、
・バリバリ働いてくれ!
・すぐに売り上げ爆上げしてくれ!
・年商を倍にしてくれ!!!
・・・って真逆のことを言っちゃうと思うんですけど 笑
そんな、社長としての器ゼロ人間であるフリタメのことは置いときまして、
著者自身も「何もしなくていい」という意味が分かりませんでしたが、それを指示した社長に”どうんな意味ですか?”って聞くんじゃなくて、
- 社長は自分に何を求めているのか?
- なにもしないの意味ってなんだ?
って、自分に聞いたんです。
もちろんすぐに答えなんて出ないから、先ずはワークマンのことを知ろうと社員に話を聞いたり、加盟店を回ったりしながら答え探しの旅に出たわけです。
そして情報収集と分析に分析を重ね考え抜いた著者には申し訳ないと思うくらいサラッと結論から言っちゃいますと、導き出した答えがこちらです。
ワークマンの戦略としては、
- 競合しない
- 値引きしない
- デザインを変えない
社員に対しては、
- 残業しない
- 仕事の期限を設けない
- ノルマと期限を設定しない
どれも一般企業がやっている当たり前のことを一切しないという結論でした。
実は本書には”しない”項目がもっとありまして、それについては本書を読んでいただければと思いますが、ゴリっとまとめたのがこの各3つです。
これを見ただけでも
- ワークマンは脱力系なのか?
- なぜこれで急成長できるんだ?
と疑問しか思い浮かばないほど”しない方針”を掲げ、愚直に”しない事を実行”したのです。
これらをフリタメ式に一言で表すとするなら、
・競合しない
・値引きしない
・デザインを変えない
→ワークマンらしいことを貫き通す!
・残業しない
・仕事の期限を設けない
・ノルマと期限を設定しない
→社員にストレスを与えない!
こんな感じでしょうか。
競合のいない市場で稼ぎつつ、社員が伸び伸びと働ける環境を整える。そして価値を生まないことはこれでもかというくらい徹底的に排除し、利益率を上げる。
更には社員の給与を100万円アップさせるという、もう聞いているだけでもまぶしくて直視できないくらいの超超ホワイト企業ぶりを構築していったわけです。
羨まし過ぎてお腹いっぱいになったところにダメ押ししますと、日ごろの仕事はシステム化しており、作業もマニュアル化されています。
ということは、誰がやっても同じ結果になる。つまり努力やセンスなんて関係なく誰でもできる作業にして、社員を頑張らせないようにしたのです。
逆にめちゃくちゃ頑張っちゃう社員がいたとしたら、その人以外は誰もできない独人的な仕事となってしまいますから、その人がいなくなったら業務が止まる。ワークマンはこれを徹底して嫌います。
だから、頑張る必要がない、なんなら頑張ること禁止!
もし頑張るヤツいたらクビ!!・・・すみません、これは私の勝手な解釈ですけど 笑
みたいな会社にしていって、誰がやっても売り上げが伸びる仕組みづくりをやったのです。
いかがでしょうか?
頑張らない経営の神髄がちょっとでも伝わりましたでしょうか?
ブルーオーシャン市場の発掘方法
ここまでワークマンのホワイト企業っぷりを知ってしまうと、不安定なフリーランスをやめてワークマンに転職したいっていう気持ち出てきませんか?
私なんか本書を読んでいるうちに、何度も ”ワークマン 求人” とか検索しそうになりました。 笑
でもそんな都合のいい夢は叶いませんから、我々にできる事というのは本書を読んてワークマンの戦略や手法を知って、それを自分に落とし込むこと、実践してみる事、つまりブルーオーシャンの発掘方法を学ぶことではないでしょうか。
じゃあ、どうやって競合のいないまたは競合の少ない市場を探すのか?
ワークマン式ブルーオーシャンを発掘する方法を重要ポイントにギュッと絞って結論を言いますと、
- 自社の強みをしっかり認識する事
- 飛躍した発想をしない
この2点です。
例えばワークマン的に表現すれば、
1.自社の強み
- 作業服は競合他社の追従がない
- 品質は申し分ない
- 価格はもっと申し分ない
2.飛躍した発想をしない
- この品質と価格を武器にして、作業服以外で勝負できないか?
- でも、高価格のブランドメーカーとは競合したくない
- どんな人が買っているのか、改めて分析する
こんな感じでしょうか。
そして、出てきた答え、発見した事というのが売上爆増の要因ともいえる、
- バイクに乗るバイカーが使うツーリングウェア
- 登山やキャンプなどのアウトドアに使える防寒着、レインウェア
だったのです。
作業服としては品質も価格も申し分なし。これを、耐久性を要求されるバイク、登山、キャンプ向けとして売り出したのです。
ここから先はみなさんもご承知の通り、
- メーカー品は高いから敬遠する人
- キャンプ初心者だから最初は安いものでいい
といったニーズを取り込むことにめっちゃ成功しました。
確かにそうですよね。
ブランドものというのは1着何万円もするから、
- 予算を抑えたい
- 登山初心者だから続けるか分からない
- ソロキャンプだから格好は気にしない
という方には手が出ない。
そこでワークマンの機能性良し、値段良しという商品がこうしたニーズにガッツリとハマったわけです。
ワークマン式ブルーオーシャンを見つける方法を知れば、簡単に発見できちゃうんじゃない?
と期待された方にはちょっとガッカりな内容だったかもしれませんが、そうなんです、競合のいない市場をさがすのに魔法なんて存在しないのです。
だからこそ、地道な情報収集と分析をして、そこを深堀していくことがブルーオーシャンへの道なんだと。
逆に言えば、ラッキーパンチが当たっちゃう0.2%の幸運な人を除いては、地道に積み上げていった人だけがたどり着ける場所、そこがブルーオーシャンなんだ!ということなのです。
まあこれは僕の場合だけだと思いますが、何をやっても売り上げがまったく上がらない時、
・儲けられるテクニックないのか?
・なんなら、楽に儲けられる別の商売ないのか?
なんて思う事ありました。
そうすると、
”私はたったコレをしただけで3000万円儲けちゃいました!誰でもできるその秘密を、今なら10万円でこっそり教えちゃいます。”
みたいな、絶対にありえない甘い言葉を目にしたとしても、
”もしかしたらオレだったら稼げちゃうんじゃないか?”
とかいって訳の分からない期待を抱いたりするわけです。
もちろんこれって稼げませんし198%騙されます。稼げるのは騙した方です。だから、楽に稼ごうなんてくれぐれも思わないようにしましょう。
フリタメ的まとめ
ということで、今回はワークマン式「しない経営」について解説しました。
本書は、なにもしない経営をすることがムダを省き、社員が頑張る必要なく、そしてお客さんにいい商品を提供できるのですと。
そんなホワイト企業の教えが書いてある本を読んで、私が感じたことも含めて解説させて頂きました。
しかし、ここで特に我々が注意しなければいけないこと、それについて触れておきたいと思います。
誤解を恐れずに言いますと、なにもしない経営というのはあくまでもホワイト企業だからなしえる技ではないかと。
今すぐワークマンのやり方を真似したからといって、ホワイト企業になるのは難しんじゃないかって思います。
なぜなら、
- 競合がいない独壇場である
- 高機能でありながら超低価格を実現
これが出来ているからなにもしない経営が成り立つし、ホワイト企業で居続けられるのではないかと。
といことは、先ず自分がやるべきことというのは自分の仕事を見つめ直し分析を繰り返しながら、
「扱っている商品やサービスを徹底的に磨く」
これではないでしょうか?
例えば、
全く売れないダメダメ商品があったとして、その売り方をいくら変えても、ただ同然の低価格にしてたたき売りをしようとしても、ダメな物にお金を払てくれる人はいません。
だから最初にやるべきことというのは、これまで誰がなぜ自分に対価を支払ってくれたのかをしっかり認識して、その強みの質を徹底的に上げることではないでしょうか。
これをスルーして、ワークマンがやっていることをそのまま実践しても何も結果は得られません。
だから、
- 花屋をやってるのに、これからはインスタ映えするスイーツ店だ!
- 創業100年の老舗そば屋だけど、これからは二郎系のこってりラーメンだ!
とかわけの分からないことを考えるんじゃなくて、
これまで誰がなぜ自分に対価を支払ってくれたのかをしっかり認識してみる。
- それは製品力、納期、価格のどれなのか?
- そこに絞って強化する、そうすればおのずと唯一無二の存在に近づけられるんだ!
- とにかく余計なことはするな!!
ということなのです。
伝わりましたでしょうか?
そして忘れてはいけないのは、めちゃくちゃ社員を大事にするということ。なんかよく分かんないけど、社員が朝から放心状態とか、見えない何かに怯えまくってるとか、そういった会社では絶対に業績は上がりません。
とにかく、社員にプレッシャーやストレスを与えないこと。そうすると社員が仕事だけに集中できるから、最大のパフォーマンスを引き出すことにつながります。
フリーランスは社員を抱えていませんから、一緒に仕事をする人や特に外注さんですね、そういった人たちに変なプレッシャーを与えないこと。
逆に、あなたが協力してくれてるおかげで私の仕事が成り立ってますよ、といった感じで相手に感謝しつつ仕事に励めば、お互いに気持ちよく、そしていい仕事ができるのではないでしょうか。
今回は以上でございます!