ガッカリした理由を聴く|クレーム対応の技と心得 安藤栄一
今回は、電機メーカーの電気回路の技術者でありながら突然コールセンターを任され、15年間で1万件以上のクレーム対応に関わった経験を持つ安藤栄一さんが書かれた著書
「クレーム対応の技と心得」
について解説します。
本書はですね一言でいえば、日々のクレーム対応でめちゃくちゃ困っている方や、そこそこ心身がズタボロだ、という方がクレーム対応の心得を学べる超有益な一冊なんでございます。
というのも、クレーム対応に関しては素人同然だったにもかかわらず、技術者魂を発揮して分析を重ね、そこから生み出されたクレーム対応のど真ん中の知識が惜しげもなく書かれています。
本書に詰め込まれているノウハウを実践すれば、
結論、
クレームの正体を理解して、正しいく向き合うテクニックが分かります。
逆に、本書に書かれている内容を知らなければ、これからも辛抱しながらひたすらお詫びする日々が続いてしまうことでしょう。
そんなしんどい状況に置かれている方には1秒でも早く脱出してもらわなければなりませんので、本書の重要な部分にフォーカスして、クレーム対応の正しい方法を3ステップとしてお伝えさせて頂きます。
後ほど詳細に解説しますが、これらの3ステップでございます。
- クレームの正体を知る
- お客様の話を聴く
- 解決策を提案して交渉する
クレームというラスボスを恐れるのは今日が最後です。クレームの恐怖に向き合う正しい方法と心得についてじっくりお伝えさせて頂きます。
では、肝心の本編に参りますが、その前に下準備として大事な2つの前提部分についてお話しさせてください。
まず一つ目は「苦情」と「クレーム」の区別でして、本書ではこのように定義されています。
- 苦情 ⇒正当な要求
- クレーム⇒不当な要求
例えば商品を送ったら、
「電源を押しても全然動かねーじゃねーか、新しい物よこせ!」
という初期不良に関する声であれば正当な要求、つまり苦情です。たとえキツイ言い方をされたとしてもクレームではありません、苦情です。
一方、保証期間が切れた後になって、
「電源を押しても全然動かねーじゃねーか、新しい物よこせ!」
ということであれば不当な要求、つまりこれこそがクレームなのです。
そして二つ目、
- 苦情は必要
- クレームは不要
ということです。
例えばですね、
・新品なのに初期不良でスイッチ入れても1mmも動かないとか、
・軽くて使いやすいですよーとか宣伝しときながら実は重くて使い勝手がめちゃくちゃ悪いとか、
まあ極端な例ですがそうした苦情が寄せられたとします。
でもこの苦情のおかげで、
・スイッチ周りの構造が悪かった
・もっと軽量化が必要だ
・使い勝手の調査はたった3人じゃ少なすぎたな
とか、甘かった部分に気付き商品の改良点が分かるわけですから、なんだかんだで苦情は必要だということです。
一方、「製品も使い勝手も何も問題はないけれど、俺は何となく気に入らねーんだ」とか、意味不明の意見はクレームですから、そんな対応に時間を取られている場合ではありません。
せっかくお金を出して買ってくれたのでぶっきらぼうに電話を切るのもなんですから、一通り話を聴いてから相手に理解を促したら、ある程度の所でバッサリ切りましょう。
くれぐれも長々とお付き合いしてはいけません。
そして二つ目、クレーム対応に魔法はないというお話です。
この決めセリフを言えば相手の怒りが一瞬で収まるとか、クレームがゼロになるとか、そういった魔法はありません。
もし、そのたぐいの教えがあるとしたら、ハッキリ言いますがそれはウソです。幻想です。
なぜなら、人間の感情、特に怒りはこちらの思い通りにコントロールできないからです。コントロールしようとすれば、間違いなく逆ギレ炎上です。
ですので、クレーム対応に必要なのは、なぜクレームが発生するのか?その正体を知ったうえで対応する、ということを押えといてください。
「なーんだ。クレームの対応方法って結局ガチかよ。裏ワザとかねーのかよ。」
と思われるかもしれませんが、ありません。
でも、ご安心ください。
クレーム対応ってゆうのは、間違ったやり方をしてしまうからしんどい状況に追い込まれるのです。
今回解説する3ステップを踏めば少なからずそこから脱出することができますので、ぜひ最後まで見ていってください。
ではきましょう!
クレームの正体を知る
ファーストステップとして、クレームとは何なのか?その正体を知っておく必要があります。
では、なぜ苦情やクレームがなぜ発生するのかというと、
結論、
期待が裏切られた時です。
購入した商品が自分の期待を下回った時、その落胆や怒りが感情となって苦情やクレームとなって現れます。
例えば我々には、
- 中国製⇒安い、壊れても仕方ない
- 日本製⇒高い、壊れたらけしからん
という意識があります。
激安で買った中国製が壊れても、やっぱそんなもんかアハハ、くらいにしか思いません。
しかし、日本製となると話は別です。
日本製は壊れないし、壊れてもしっかりとした修理対応をしてくれる、という高めの期待値がありますから、多少高価でも購入します。
その分、期待外れなことがあるとイラっとして、期待値を下回った⇒苦情やクレームにつながります。
じゃあ、苦情とクレームの違いは何?となりますが、先ほどの説明の通り、要求してきた内容が正当であれば苦情、そうでなければクレームです。
例えば、中国製であろうが日本製であろうが、保証期間内の故障なら苦情。もし、めちゃくちゃブちギレれたとしても、その内容が正当な要求である限り、それは苦情です。
一方、クレームは?というと、保証期間を過ぎてるにも関わらず、
「無料で修理しろ、新品送れ」
といったことです。これは明らかな不当要求ですからクレームです。対応するだけムダ、つまりクソです。
本書に依りますと、日本製の場合は多少保証期間が過ぎても何とかしてくれるだろうという期待があったりするのでやっかいなのですが、それは関係なくて、保証期間が切れた後の要求は全てクレームですと。
少なからず保証期間は商品の期待を裏切ってはいませんし、購入した方は保証期間がある事を承知で購入したわけですから、下手に出る必要はない、毅然とした心構えを持ちましょうということです。
まあ、そうは言っても保証期間1年に対しで10年目で壊れました、とかならいいですが、1年と1日目で壊れたら毅然とした態度は取れませんよね。
これについては3ステップ目「解決策を提案して交渉する」の中で対応方法を解説したいと思います。
お客様の話を聴く
続いて2つ目、お客様の話を聴くというステップです。
先ほど解説した通り、苦情というのは期待値を下回った、つまり、
”こんな商品を買ってしまった”
というガッカリ感に対するものですから、まずはその内容を聴きます。注意点は、真剣に聴くということです。
ガミガミうるせーな、とか思っちゃうと話を聴いてても上の空になりますので、とりあえず状況確認という感覚で聴き、内容をメモしておきます。
なぜメモをするかというと、聞き取った情報を分析して事実を明確にするためです。
と言いますのも、こちらに非がある場合もありますが、お客様が
「あー、ごめんごめん、勘違いしてた。私がおっちょこちょいでした。」
ってゆうの可能性もありますよね。
真実を語っているのではなく、真実だと勘違いして語っているのかもしれません。
他にも、どちらが正しいとかではないんですが、こちらの常識とお客様の常識にズレがある場合もあります。
最初からうざいクレーマーと決めつけてしまうと話を聴けなくなるので、どっちの立場ではなく客観的にとらえるということがキモです。
例えば、
送った商品が最初から壊れていて、電話を取ったとたんにいきなり大声でブちギレられたとします。我慢しつつも話をよく聴くと、買った商品はプレゼントでしたと。
この状況からして、恋人または子供に誕生日プレゼント贈ることになっていた、でも、箱を開けたら壊れていた。ということですから、まあブちギレて当然ですよねと。
この場合取り違えてはいけないのは、
ブちギレている=クレーム ではありません。
最初から壊れていた=苦情 として対処するのが正解です。
つまり、こうしてお客様の話をよく聴いて分析してみると、今までクレームだと思っていたけど、実は苦情だったということなのです。
話しを聴かずに門前払いをしたり、臭い物には蓋の対処は禁物です。さらに激高されて、手痛いしっぺ返しを食らうことになるでしょう。
電話を受け取ったら、お客様の感情を受け止めつつ、苦情とクレームを仕分けるために客観的に傾聴するようにしましょう。
解決策を提案して交渉する
最後に三つ目、解決策を提案して交渉するというステップです。もはやここではクレームを聴くだけでなく、怒りを鎮火させる対応をしていきます。
例えば、商品に初期不良があり、もう100%こちらが悪いです、言い訳もできませんという状態で、
「今日中に商品持ってこい!」
と怒鳴られ続けていたとします。
でも、どうやっても明日着が最短の場合、今日中という要求には対応できません。お客様からすれば苦情かもしれませんが、こちらからすれば半分クレームみたいな状態です。
そこでまずやるべきことは、誠心誠意全力で対応しても明日着が最短なんです、ということを詳しく説明し続けます。
まあそれでも簡単に納得されないでしょうから、お値段そのままでワンランク上のグレードの商品に変えるとか、次回の割引券を付けるとか、最善の提案をしつつ何かしらの妥協点を見つけて解決を図りましょうと。
やはり、怒りを納めるためには何かしらのアドバンテージを付けたお詫びが得策です。
先ほどお伝えしました、保証期間1年に対し壊れたのが1年と1日目だから無料対応しろ、というクレームについても同様です。
たった1日遅れの故障で、もし自分が「保証期間外だから修理費用は全額請求します」とか言われたら普通に嫌ですよね。次回から商品を購入しないかもしれません。
ですから、全額請求じゃなくて2割引きとかにして誠意を見せるとか、そういった義理人情的な部分の対応が必要なんじゃないかなと思います。
また、本書ではお詫びの程度問題については、大げさなお詫びはお勧めしない、ということが書かれています。
著者の経験として、あるとき料理店で1時間待たされましたと。そのお詫びとして食べきれないほどのデカ盛り料理をサービスされましたと。
実際問題、そんな食べきれないほどの料理を出されても困りますよね。次にそのお店に行きにくくもなります。
ですからこうした場合は、ちょっとしたお詫び程度の小鉢を出すとか、そのくらいがちょうどいいわけです。
こういった感じで、全力で解決策を提案しつつも、大げさなお詫びは避ける。そして、お客様が納得してくれる妥協点に落とし込む、そういった交渉をしていきます。
もし逆に、過剰すぎるほどのお詫び大歓迎、いくらでも受け付けます、みたいなモンスター級の要求をしてくるお客様だったとしたら、最大限の対応をしたうえで、もうこれ以上は前例がないこと、取り決めがないことを伝えてキッパリ断るようにしましょう。
フリタメ的まとめ
ということで、今回は安藤栄一さんの著書「クレーム対応の技と心得」について解説しました。
- クレームの正体を知る
- お客様の話を聴く
- 解決策を提案して交渉する
前提として、クレーム対応に魔法はありませんと。
対応としては、
まず最初に苦情とクレームを仕分けして、商品改良のヒントになる苦情にはしっかり対応しましょう。
でも、理不尽なクレームに対してはキッパリ断るか、解決案を提案して妥協点に落とし込みましょう、そんなお話をさせて頂きました。
要は、苦情とクレームを1つの箱にごちゃまぜにするんじゃなくて、棚に整理する。そしてクレームじゃなくて苦情に対してのみ注力していきましょう、そんな風にとらえて頂ければと思います。
まあでも、クレーム対応ってなんだかんだイヤですよね。色々言われるし、真正面から向き合っていると心が折れることもあります。
特にフリーランスは商品の製作、販売、営業、顧客対応など、人気歌舞伎俳優並みに一人何役もこなさないといけません。
時間が無かったり疲れてるときなんて、クレーム言われたらめちゃくちゃイラっとしますしね。だからといって、適当に対応するわけにもいきません。
そこで、これは本書にも書かれてるんですが、クレーム対応ってなんだかんだストレス貯まりますから、リフレッシュ方法を知っておくことが大事ですと。
溜まったストレスをうまく吐き出す、もはやこれもクレーム対応の一角なんじゃないかなーと思います。
ソロキャンすればリセットできますとか、
おねーちゃんと酒飲んでおけばとりあえず大丈夫だ、
みたいにストレスを溜めない方法を持っていればとりあえずOKです。
一方で、これといって趣味もないしやることもない。基本的に疲れているから家で寝ているだけだ、という方もいますよね。
まあ睡眠も立派なリフレッシュ方法ではありますが、運動不足になると肥満や生活習慣病の原因にもなりますから、体が資本のフリーランスには命取りです。
そこで、ストレスを吐き出す、リフレッシュする方法としてフリタメ的に一つおすすめしたいと思います。
それは、ウォーキングです。
なーんだ、ただの散歩かよ…
と思うかもしれませんが、ウォーキングの効果については以下の内容が科学的に証明されていると言われています。
- 血液が循環して脳がリフレッシュできる
- 脳の記憶力と思考力が改善する
- 脳の神経の発達につながる
- 適度な疲労感が良質な睡眠につながる
- 疲労物質が溜まりにくい
これを見て気づくと思いますが、ウォーキングは脳にいい影響をもたらしてくれるのです。
足動かしてなんで脳に好影響なの?と思うかもしれませんが、ウォーキングなどの軽い運動で「第2の心臓」と呼ばれるふくらはぎがの筋肉が収縮され、ポンプの役割をすることで血液循環が良くなる、その効果が脳のリフレッシュにつながっていますと。
これを知ってか知らずか分かりませんが、実は歩きながら考える社長も多いらしくて、あのApple創業者のスティーブ・ジョブズ氏もあえて歩きながら電話会議していたそうです。
私もこうしたウォーキングの効果を知るまでは疲れるし面倒だなとか思ってましたが、実際に半年ほど継続してみると完全な早とちりだったことに気付きました。これが良いリフレッシュになりますし、ストレスも間違いなく減りました。
とにかく、悩んだら歩きましょう。アイデアは歩きながら考えましょう。それでも悩みが消えなかったりアイデアが出なかったら・・・・・また歩きましょう 笑
あと、これは本書には書かれていないんですが、苦情やクレームを真正面から受け続けるって精神的にキツイですよね。
これを緩和する方法としてフリタメ的には、第三者的な気持ちで対応するってゆう方法がいいかなーって思います。
この手法は一般的に知られている事でもあるんですが、第三者的というのは、例えるなら幽体離脱して斜め上から自分を眺めてるイメージですね。
真摯に対応しつつも、苦情クレームを受け止めてるもう一人の自分を眺めてる、みたいな感じです。
こうすることでクレームを客観的にとらえられるようになり、真正面からストレスを受けるのとは変わってきますので、ストレスの量が減ります。
イメトレが必要なので出来るようになるまで少々時間はかかりますが、クレーム対応で絶賛しんどい最中ですという方はぜひ試してみて下さい!
今回は以上でございます。